機能美への轍

株式会社ニトリ

売れ筋になった瞬間、その商品を変えることを考えろ。

 

世界AAA級の企業へ― の目標を掲げ、「お、値段以上」を旗印に大躍進を続ける株式会社ニトリ。羽毛ふとんを中心に商品開発の現場はどのようなものかを小林秀利執行役員に聞いた。

 

店頭にずらりと並ぶ羽毛ふとん

店頭にずらりと並ぶ羽毛ふとん。ホワイトダックダウン70%のシングルは4900円(税込み)。販売数量は右肩上がりを続けている。「毎年売価を下げ続けていることで、新婚さんから学生まで客層が広がっています。ニトリの羽毛ふとんはいいという口コミ効果も大きいですね」(小林氏)

 

― 羽毛ふとんを扱うようになった背景をお聞かせください
羽毛ふとんの販売を開始したのは1990年代初頭です。当社が社名を「ニトリ家具」から「ニトリ」に変更し、店名を「ホームファニシング・ニトリ(現ホームファッション・ニトリ)」にしたのは86年のことです。その数年前、似鳥(似鳥昭雄代表取締役社長)がアメリカのチェーンストアを視察した際、価格の安さ・品揃え・品質が日本とは桁違いであり、しかも1店舗で家具だけでなくホームファッションの商品がすべて揃う店づくりに大きな感銘を受けました。その感動・共鳴を具現化していく中で、羽毛ふとんを含めた繊維商品への参入は必然的だったのです。

 

― ニトリの海外自社開発製品の比率は75%を超えるとお聞きしています。
羽毛ふとんも生産は海外ですか?

02年から中国とベトナムで生産を始めましたが、それ以前は国内調達でした。ニトリの商品開発には「売価が前年と同じなら品質・機能を上げる。売価を下げるのであれば、最低限前年同様の品質・機能を維持する」という鉄則があります。もちろん、一番いいのは売価を下げて、品質・機能を上げることです。羽毛ふとんもその例外ではなく、毎年改良・改善を加えながら参入当初シングルサイズで5万円だったものが今シーズンは4900円で提供できるようになりました。最初に海外生産ありきではなく、理想とする価格・品質・機能を追求していった結果が海外生産なのです。これは、羽毛ふとんだけでなく、あらゆる商品に共通して言えることです。

 

― 羽毛ふとんの中で一推し商品は?
7900円(シングル、税込み)で販売する合掛けと肌掛けがセットになったフルシーズン使えて便利な2枚合わせ羽毛ふとんです。ニトリが2枚合わせを初めて販売したのは98年。当時はどんなに安くても5万円しましたが、19900円で提供し大きな反響を呼びました。その後、中国の羽毛産地での直接調達、価格ラインを絞っての大量発注などにより昨年は9900円まで価格を引き下げました。今年はさらに2000円価格を下げ、昨年実績の14万枚を上回る販売を期待しています。

 

― 機能面の特長は?
ダウン80%で、えり元・足元は中央部分より羽毛を20%増量し、暖かさを逃がさない構造にしています。えり元はえり部分で縫い合わせず、折り返して縫製しています。こうすると首元までダウンが入り襟首が暖かいのです。ご家庭の洗濯機で洗えるのも特長の一つですね。

 

前年より価格を2000円下げ、7900円(シングル)で販売されている2枚合わせ羽毛ふとん

前年より価格を2000円下げ、7900円(シングル)で販売されている2枚合わせ羽毛ふとん。価格を引き下げるために残すべき機能・品質と切り捨てるべき機能・品質が徹底的に分析されている。例えば生地は無地でポリエステルとコットンの混紡。「カバーを掛けて使用するのですから、コストをかけて柄を入れる必要はない。羽毛が吹き出さなければいいのですから、シルク地にこだわる必要もない。コットン100%よりポリエステル混紡の方が軽くて扱いやすい。では、どの番手の糸を使えばいいかまで追求しました」と小林氏。

 

― ニトリが目指す製造物流小売業とは?
企画・製造・物流・販売をすべて自社内で運営するシステムです。すべてを自前で行うのは確かに難しいのですが、すべての段階を自分たちでコントロールできますから、それだけ他社に比べてコストカットする部分が多くなります。ニトリには常に現状を否定しろというポリシーがあります。商品開発でいえば、売れ筋になった瞬間に、その商品を変えることを考えます。売れ筋をつくれば、当然他社が追随してきます。翌年同じものをだせば、差別化できなくなるからです。現状に満足することなく常に5年先を考え、今できる最善の取り組みを行っていくことがニトリの責務と考えています。

 

小林秀利(こばやし・ひでとし)氏

株式会ニトリ
執行役員
商品部マーチャンダイジングマネジャー
小林秀利(こばやし・ひでとし)氏

商社、繊維機械メーカー勤務を経て1992年に株式会社ニトリ入社。札幌・新道店に配属の後、店長、エリアマネジャーを担当し、99年店舗運営部GM。01年に商品部に移り、07年2月より現職。「ニトリは配転こそ最大の教育であると考えています。原則として同じ職位は18カ月。1年で仕事を覚え、半年で実績をだすのが目標です。私も多くの部署や職種を体験させてもらいました」

 

【お問い合わせ】
http://www.nitori.co.jp/